おなじ夢を見る

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自分にあるものを求める恋と、自分にないものを求める恋。どちらがいいかと言ったら、前者に決まっている。自分にないものを求める恋は、要するに理想の追求で、その理想は、往々にしてこの世には存在しない。つまり、自分にないものを求める恋、というのは、相手の――他者の、と言ってもいいが、「本質の不在」を要求するものであり、まともな神経をもっているものなら、到底容認しがたいものであることがわかるだろう。これに対し、自分にあるものを求める恋、というのが、ひどく即物的なものであることは否定しない。けれども、恋愛というのは本来において即物的なものなのではないか。ならば、鏡のなかの自分を見つめるような恋愛は、ある意味すごく理にかなっている、と言えるだろう。
とはいえ、そんなふうに考えていたのはきのうまでのことだ。
(「おなじ夢を見る」より)

カテゴリ:
小説

収録作:
「短い沈黙のためのア・ラ・モード」
「桜の樹」
「ベルトの魔法」
「さまよえる二匹の犬」
「毒と苺」
「パフェの奥底」
「旅の途中」
「後日談」
「誰でもいいから誰かを力強く抱きしめたい」
「甘籃を刻む男」
「レインボーロードの亡霊」
「おなじ夢を見る」

PDFページ数:
81p

仕様:
zip(pdf/epub/mobi/書影)

最終更新日:
2021年5月2日

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