太陽を好む複数の惑星

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少年たちを乗せた汽車が、ファースト・ターミナルへと到着する。
目を覚ましたのは水星であった。繭のなかからからだを出すと、彼は四つん這いになって他の繭たちのあいだを縫ってドアーのところまでゆき、下方につけられたノブを押す。ドアーの隙間から、びゅう、と冷たい風が吹きつけてきて、水星は思わず目を閉じた。そのまま這うようにして外に出て、雪のなかに鞠のように転がり落ちる。まぶたが冷たい。睫毛も。それから心臓も。いずれも、あるとすればの話であるが。
(「太陽を好む複数の惑星」より)


カテゴリ:
小説

収録作:
「太陽を好む複数の惑星」
「幻談(2015)」
「天井をささえる男の話」

PDFページ数:
111p

仕様:
zip(pdf/epub/mobi/書影)

最終更新日:
2021年3月29日

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Size
10.3 MB
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